お代官と越後屋日記 6第6話 越後屋登場四国藩代官、尾田川成美は小心者である。 しかしながら、得てして小心者は狡賢い面も持ち合わせている場合が 多いものであるが、例に漏れず尾田川も小心者特有の 狡賢さを兼ね備えていた。 目の上のたんこぶである白川を排除するチャンスは 尾田川が四国の田舎から関西藩へ復帰するチャンスでもあった。 「あいつを白川の変わりに四国藩に連れてくれば 四国藩は私の思う通りになる。実績などいくらでも 作り上げられるぞ」 2日後、尾田川は再び関西藩藩主、澤口純一朗の部屋を訪れた。 「白川殿の後任の件でございますが・・・」 ゆっくりと自らの心を落ち着かせるかのように尾田川は切り出した。 「誰かいい者がいるのか?」 「越後屋広成が良いかと思われます」 「越後屋?ん~思い出したぞ。中田広成じゃな。 かつてそちの部下であった男よのぅ」 「はぃ、左様でございます」 「考えておく。下がってよいぞ」 尾田川が部屋を退出したのを見届けて 澤口は越後屋の上司に電話をした。 「四国の尾田川が中田をくれ、といっておるが あいつはそちの所でもいらんじゃろ。 セクハラ大魔王じゃからな。わしもどうしようか 悩んでおったのだが、ちょうど良いわ。 四国に飛んでもらうが、それで良いのぉ」 中田広成、通称越後屋の四国行きが決まった。 ジャンル別一覧
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